水野愛也著『LOVE理論』を読んで、反省会の巻

本屋をプラプラ歩いていたら、『LOVE理論』というタイトルの本が平積みされておりまして、その本の帯にドラマ化決定!などと書いてあるのが、僕の目に止まりました。
こ、これは?!恋愛のハウツー本を原作にして、ドラマを書くのか。すごいな。面白そうだな。と僕の好奇心をくすぐります。
ブラピ主演の映画『マネーボール』の原作は物語ではなくビジネス本だ、と聞いたことのある僕は興味深々です。

主演は中村獅童だそうです。

獅童が恋愛指導かw
いや、でも君は過去にね、ほらw
てか、もともとカッコイイ男に言われてもね…
などと、僕の頭の中は勝手にキャスティングへのイチャモンを開始します。

まあ、ドラマをですから。キャスティングも大人の事情があるのでしょう。僕も大人ですからそれぐらいのことは多目にみたいと思います。


恋愛ハウツー本からどんな脚本が描かれるのか。いや、その前に、ドラマにしたときの脚本の良さを理解する為には、まずは原作と比較しないといけないよな。ということは原作を読むのは必須。その上でドラマを見なくては!
要チェックや!
と、我ながら面倒くさい作品鑑賞のスイッチが入ってしまいました。

べ、別にモテたいわけじゃないんだからね!
と心の中で自分に言い訳しつつ、周りに人がいないことも確認しながら、『LOVE理論』を手にとって読んでみます。
タイトルから、僕はこの手のよくあるこうすれば女にモテるぞ的な安易なハウツー本だろうぐらいに思っていました。しかし、そこに書かれているのは、著者、愛也の熱血指導による、女の子と付き合う為の涙ぐましい努力の数々。楽で、簡単で、カッコいいことなどまったく書かれていないのです。

まずは、恋愛ベタで女の子への妄想ばかりが膨らむチェリーボーイどもを一括します!
「ブサイクだろうが、なんだろうが、とにかくセックスせよ。そして、お前が今まで抱いてきた性の妄想を現実においてトライし、そのすべてに絶望せよ。」

それから、「失敗などはしていない。上手くいない方法を700通り見つけたのだ。」の言った発明家エジソンを引き合いに出して、
「すべての方法を試したのか?モテるために、限界まで努力したのか?」
と、男どもへ檄をとばします!

おまけに、著者の経験として、
合コンの参加資格を得るために、幹事である男に気に入られろや、
FacebookTwitterを使って、女の子の居場所がわかれば、自転車で3時間半かけて女に会いに行き、そして、また3時間半の帰路につくや、
女の子への一通のメールに平均で2〜3時間かけて書き、仕事に支障がでるレベルや、
ディズニーランドデートのために大型書店に行き関連図書をすべて読み、さらにはネットで役立つ情報があれば逐一メモした。
などと、文系かつ面倒くさがりな僕にとっては、ほとんど 訳に立たない情報が熱血レクチャーされています!

そして、コミニケーションにおいては犬や猫を真似し、
「無駄な動きの量と、高感度は比例する」
「コミニケーションにおいて、できるだけ無駄な動きを取り入れること。決して省エネは許されない。」
と、まるで女の子が可愛いと思うようなペットであれと要求するのです!

さらに、やっと念願のベッドインという場面では、
「セックスは「目的」ではなく「(女の心を掴むための)手段」である。」
「セックスの鉄則 その一 楽しむな」
「いいか? セックスという行為、特に女との最初のセックスは、恋愛のなかでも「最もつらく、過酷な労働」であると位置づけよ」
「そもそも最初のセックスをセックスとは呼ばない。「リサーチ」と呼ぶ。」
「終わった後は無理やり優しくしろ」
と、デューク東郷でもさすがにそこまでは言わんやろ?
というほどの徹底したリアリズムに基づくプロの仕事を要求するのでした!

もはや苦行。女の子にモテるためにこれほどの苦行が行われていたとは…と僕は、男の女にモテたい欲求の強さを改めて知り、それに唖然としてしまいます。
と、ほんんど同時に、僕の頭の中では一大反省会が開かれたのです。はたして、僕はこれまでどれぼど努力をしてきたのでしょうか。僕は草食系男子であることを言い訳にして、女の子という名の苦行から逃げ出しだけではなかったのか。あるいは、ガッツいてる男ってなんかカッコ悪いなどと冷めたフリをしていたのでないかと。
今思えば、どれほど僕は怠惰だったことでしょうか。
合コンに行ってもすぐに飽て、ぼーと天井を見上げる。せっかく女の子にアドレスを聞いてもメールしない。めんどくさいからメールを返さない。
デートコースは基本適当。
会話のキャッチボールはほぼ無視。僕は、僕の喋りたいことを喋りたい。
興味のない女の子はご飯に行くだけ。さっさと帰す。僕は笑顔で見送りながらも、早くうち帰って映画見たいなぁなど、心をここにあらずです。
もう、セックスに至ってはお恥ずかしい限り。
全くもって自己中でした。自分が楽しむことしか考えておりませんでした。僕は猛烈に反省しております!

僕が女の子にモテないのも当たり前。僕に足りなかったのは、身長でも、足の長さでも、イケメンでも、アソコのサイズでもありません。努力です!
今、なぜか猛烈に僕の中で上田次郎が叫んでいます。
「ベストをつくせー!!!!」
「Why don't you do your best!!!!?」と。

そして、いざワンピースの似合う女子を見つける大航海へ、
リア充に俺はなる!!
と、心なかで叫んでおります。

これからは、愛情、努力、勝利を胸に日々生きてゆきたいと思っております。

と、ここで僕の頭の中の反省会が一段落したところで、続きを読んでみます。

愛也先生は、出会いがないと嘆く男に、女の子に渡す連絡先と気の利いた一筆を書いてやります。
しかし、この手の所謂ナンパでは、女の子から連絡がこないかもしれません。それでは、この童貞野郎が、
『自分の声の掛け方が良くなかったたんじゃないか?』
『自分のルックスがダメだったんしゃないか?』
などと、自分を責めかねません。
それをも見越した愛也先生は、自らの一筆にあえてギャグを入れ、
「もしメールが来なかったとしても、その理由のすべてを「愛也のギャグが滑ったから」この一点に集約させよ。すべての責任は、愛也にあるのだ」
と、男の僕が聞いてもクッソ男前なセリフを決めてくれたのです‼

あ、やばい…
かっこいい…
惚れてまうやろ…
ありかもしれない…
ありだよね。
全然ありあり…………ぇ?!

女の子じゃなくて僕がオチそうになってきたので、立ち読みやめて帰ります!

LOVE理論

LOVE理論